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  • 【雑誌連動企画】X(cross)shooting… / Voigtländer APO-ULTRON 90mm F2
    Voigtländer×瀬尾浩司【第1回】作品の裏側を聞く



大口径、コンパクトな中望遠レンズ
Voigtländer APO-ULTRON 90mm F2で
瀬尾浩司が撮るX(cross)shootingインタビュー第1弾!

2025年1月に株式会社コシナから発売されたポートレートにピッタリのVMマウントレンズ 「Voigtländer APO-ULTRON 90mm F2」をファッションフォトの世界で活躍する写真家、瀬尾浩司さんに使用していただいた Voigtländer × HIROSHI SEOのX(cross)shooting!  雑誌PASHA STYLEに掲載される作品のバックストーリー、このレンズのコトなどなど色々瀬尾さんに聞いてみました。 誌面の作品、ここでしか見れない作品と併せてお楽しみください!


瀬尾 浩司 / Hiroshi Seo
広島県福山市出身。 京都精華大学デザイン科卒業後、植田正治氏に師事。2000年よりフリーの写真家として広告・ファッション・雑誌など様々な分野で活躍。PASHA STYLEポートレートナビゲーター
http://hiroshiseo.com ■ Instagram ■ PASHA STYLE






💬 今回のコラボレーション企画X(cross)shootingのテーマ「Terminal」についてお聞かせください

今回VMマウントのAPO-ULTRON 90mm F2をお借りした訳だけど、お話をいただいた時にこのレンズの強みは何なのかを考えてみたんだ。まず浮かんだのは"ポートレート"がいいということ。90mmだしね。あとLeicaで撮るということはやっぱり自然光でスナップっぽい撮り方が一番いいかなと。 日々の撮影の合間にスタジオでライティングしたポートレートも少し撮ってみたんだけど、なんかちょっとしっくりこなくてね。やはりスナップでいこうということで方向は決まりました。 次に場所をどこに設定するのかという時に浮かんだのが「空港のTerminal」。僕は仕事柄旅をする事が多いのだけど、必然的に色んな空港や駅、港をよく使う。そこは旅の始点であり、終点でもある。または旅の途中の場所でもある。宗教や人種や性別目的は関係なく、ただただ多くの人が行き交い、それぞれの人生が交差している。 だからそんな混沌とした場所でのスナップ〜Terminalっていう流れに自然と惹かれたんだよね。


💬瀬尾浩司という写真家を表現する時「旅する写真家」と紹介している記事を見ました。そういう部分でも「Terminal」というテーマは瀬尾さんの表現するものとして親和性があった訳ですか

もちろん旅から教えてもらったことは沢山ある。日々カメラマンとして活動していると、例えば広告写真を多く撮ったりする時期があったりするじゃない。コマーシャルフォトって多くの人が関わってひとつの成果物を積み上げながら生み出す仕事(撮影)でしょ。ずっとやっているとそういう頭になっちゃう。 それも悪い事では無いんだけど、素晴らしい瞬間に出会った時、心の針がブンっと振れた時にシャッターを押す感覚も僕は大切にしてる。そんな気持ちはボディ1台、レンズ1本で旅に出て写真を撮ると自然と蘇ってくるんだ。そして様々なことに気付かされる。「この光いいなぁ」とか「もっと空間を広くつかってみようか」とか、制限のない撮影は脳がリフレッシュされてシャッターを押す瞬発力や自由な発想が湧き上がってくる。またポートレートにおけるコミュニケーション力も旅に出ると鍛えられるしね。 Voigtländerのレンズはマニュアルフォーカスだということも撮影者と被写体の間に独特の時間の流れを生み出してくれる。ピピッとピントが合うわけじゃない。スーッとピントリングを自分の手で回しながら「そのまま‥‥そのまま」と思いながらパシャリとシャッターを押してる。 心にゆとりをもって楽しむレンズ。 スナップポートレートにはもってこいのレンズだと思うよ。


コラボレーション企画のコンセプトについて詳しく語ってくれた
撮影機材であるLeica M11に装着されたAPO-ULTRON 90mm F2。サイズ感とビジュアルがボディと相性抜群だ



カタコトの言葉を駆使してポートレートを撮る。少し長めの90mmという距離感が出会ったばかりの関係に丁度いい。スノーボードを楽しんだ男性と日本の食を満喫した女性のカップルは「ニッポンサイコー」と笑いながら去っていった




💬スナップポートレートを撮るという時に90mmという焦点距離のレンズは使いやすかったですか

普段Leicaには標準域のレンズ、50mmとか35mmとかをつけて使ってる。90mmっていう長さは個人的に一番好きなんだけど、Mマウントのレンズでは持ってなかったんだよね。海外とかに1本だけレンズを持っていくならこのレンズがあれば大体撮れちゃう。だから今回のスナップでも長さ感はドンピシャだったよ。僕の師匠である植田正治さんはズームレンズが苦手で「やっぱり単玉がいい」といつも言っていた。自分自身が寄っていく、引いていくということでフレーミングを決めていくことの方が被写体を捉えていきやすいということなんだ。その時によく使っていたのが90mmあたりのレンズだったから、自然と僕もそうなるよね。若い時の師匠の教えなんだから(笑)


💬90mmあたりの距離感は師匠直伝で染み込んでいるんですね
80代の師匠の横で弟子の若い僕がズームレンズ使ってたらおかしいでしょ(笑)でもポートレートを撮るなら90mmあたりはとても使いやすい焦点距離だと思いますよ。例えば初対面のフォトグラファーとモデルだと35mmでいきなり寄られるとちょっとびっくりするじゃない。適度な距離を自然に取れて歪みも少なくボケ足も得やすい90mmは1本は持っておきたいレンズだね。 あと僕の中では割と90mmは縦位置がしっくりくるんだよね。なんでだろう? 長い分切り取る感じが縦の方がしっくりくるのかな?  それからマニュアルフォーカスの良さってあるよなって今回改めて思いました。実は10年ぐらい前に2年間くらいマニュアルフォーカスだけで仕事をしていた時期があって、その時の感覚が蘇ってきてね。スーッとファインダーの中でピントが合っていく気持ちよさ。それがどんどん上手になっていく感じ。ピピッと素早くピントが合ってパッと撮れてすぐ移動っていうスピード感じゃなくて、ファインダー覗いて「そのまま‥‥そのまま」と思いながらスーっとピントを合わせて行く感じ、一期一会の出会いの中で楽しいコミュニケーションが生まれたりね。今回もそんな楽しいスナップが撮れました、是非誌面の方もみて貰いたいです。


キュートな帽子の男性に声をかけて僅か15秒のフォトセッション。様々な人々が行き交う空港のエネルギーにシャッターを押す指が捗る



X shooting協力メーカー




コラボレーションレンズ情報

Voigtländer APO-ULTRON 90mm F2(VM MOUNT)
RGBの軸上色収差を抑えるアポクロマート設計と12枚の絞り羽根が生み出す美しいボケ味。精密なマニュアルフォーカス機構とコンパクトなボディが、高性能かつ滑らかな操作感を実現するレンジファインダー用レンズ。
●焦点距離:90mm ●口径比:1:2 ●最小絞り:F16 ●レンズ構成:7群8枚 ●画角:27.4° ●絞り羽根枚数:12枚 ●最短撮影距離:0.9m ●距離計連動範囲:∞〜0.9m(使用するカメラにより異なる)●最大径/全長:φ61.9x63.3mm ●フィルターサイズ:φ52mm ●重量:340g ●レンズフード:専用フード付属 (リバース装着可能) ●カラー:シルバー/ブラック
価格:13万2000円(税込)







雑誌連動インタビュー第1弾はいかがでしたか?
次回は「APO-ULTRON 90mm F2」についてさらにお話を聞いてみました! お楽しみに!




今回「Voigtländer APO-ULTRON 90mm F2」で撮影された作品は、
雑誌PASHA STYLE Vol.11に掲載されています。
ぜひそちらと併せてお楽しみください。
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【text:kimihiro kawano】